舞台を観てからもう1週間ほどになるというのに、
まだまだ興奮が冷めません。
舞台って、いつもは
ミュージカルやバレエを観ることがほとんどなんだけど
「楽しさ」「面白さ」「美しさ」と同時に
「考えさせられるような深み」
も無いと心底満足できないと、今までの経験から感じてます。
この「あゝ、荒野」にはそれら全てがあったと思います!
だからこんなにも後から後からじわじわと感情が押し寄せてくるんだろうし。
いい舞台が観られて幸せです。
ただ、蜷川演出・寺山作品が初めてなのになんの予習もせずに臨んだフトドキモノで(汗)
この舞台の本当に届けたかったメッセージはわたしにはとらえることが出来なかったと思うので
それが、悔しいです!
できる事ならもう一度観たい!でも、一度観ることすら出来ない人がほとんどの中、まず無理だろうな・・・
青山劇場の1階最後列下手側の席だったので、舞台遠くて見えにくいかな~
と心配したけど、全然大丈夫。なかなか近く見えました。
しかも、下手側客席通路、何度もキャストの方が通りました♪
ごひいき役者(と言ってみる)の松本さんも、下手客席通路を3回くらい?通って行ったので
なかなか近くに見ることが出来ました。
いや~~、あの人、本当に美しい人ですね!
ギリシャ彫刻のよう(某アイバチャンは木彫り人形とか言ってましたね♪)
客席を使った演技は蜷川さんがよく使う手法なんですかね?
最初っから、客席使ってましたから。開場して10分位してから席についたんですけど
ふと気が付いたら舞台上に人がいて、ストレッチしたりお着替えしていたり。
どこから来たの?
と思ったら、なんと客席通路を後ろから歩いてきて、舞台に上がって行きました。
面白いですねー。いろんなところでいろんなことしてました。
女性が、男性ダンサーの方にピルエットを教えてもらってたり(女性、脚が逆逆!!)
わたしが家でしている腰痛体操みたいなのしている人いたり(笑)
開演時間が来たら、リズム音が鳴っていつのまにか全員でダンスを始めてました。
ダンスって言ってもぜんぜんきれいじゃないんだけど、なんか迫力があるんだよ。
そしてちょっと滑稽で哀しくもある。
胡散臭い登場人物の宝庫で、それが「ああ演劇を見ているんだ!今!」という変な満足感を満たしてくれた(笑)
そんな中に、客席通路を後ろから登場したバリカン役の小出くん。
やっぱり上手いんだな~~。どう見ても、オーラが無い。人とうまくしゃべれないバリカン。
だけど、モノローグでは自分の言いたいことをすらすら言えるんだよ、その時の声がとてもよく通る声で一階後方にいてもすごくよくわかる。さすが。
ポマードこてこてのオールバックの新次(松本さん)は、逆にこれでもかという強いオーラを遠慮なく発していて光を放っていたね。
登場した瞬間から一身に光を集めて放ってた。
すごく惹きつけられる。ギラギラしてる。
石原裕次郎映画みたいな?見たこと無いけど。
その少し前から、月川悠貴さんという歌い手役のキザな方(この方はよく女形をされるんだね)が村田英雄の歌謡曲を直立不動でショベルカーのショベル部分に乗って歌ってて、度肝を抜かれた。面白いね!
なんなんだ?!この人は!とあっけにとられて目が釘付けだったけど、
舞台上手からトラックの、なんと天井に乗った新次が現れて一気に空気が変わったね。
挑戦的なギラギラしたまなざしの新次。あれは、いまどきの若者には無いまなざしだったね。
そうそう、足は素足に雪駄。かっこいい。
随所に寺山修司さんの詩が引用されるのだけど、その意味を真剣に考えているうちに場面は変わってしまってて展開を追うのに結構必死。
やっぱり勉強しておけば良かった。
アタマが疲れると眠くなる…で、何秒間か記憶に無い時間も発生(ごめんなさい!)
まじめな場面だけが続くのかと思ってたら、かなりブラックユーモアな場面多かったですね。
すごいな、と思ったのが早稲田大学自殺研究会のみなさん。キャラが面白いし。
喫茶店?で小声で話すところなんて、ひそひそ話しで客席隅々に届くような話し方をしないといけなくて。
なんという相反すること!かなり難しいことだと思うのに、一階後方でもちゃんとひそひそ話しが聞こえてよくわかった。
あの喫茶店のシーンは面白かったね。そこに新次が現れたときは、「なんていう綺麗なにいちゃん!」って思った。その存在感はかなり浮いてたな~。
ソース焼きそばはちゃんと作っていて、わたしの席までぷ~んとソースのいい匂いがしてきてた。(食べたい!)
そして、バリカンと新次は友情を育んでいくんだけど…それを感じるにはちょっと不十分だったかな。。。
途中、冗長と感じる場面もあったからそれをもう少しカットしてでも二人のシーンを増やせば良かったのに、
なーーーんて、蜷川さんにダメ出ししたりして(あわわ。。。)
二回あった新次と女のベッドシーン。大変オトナのシーンでした、これは子供連れで見るのは辛いです。
(わたしは大人の女性と観に行ったので良かったです。喫茶店の場面でポケットからあれがずらずら~っと出てくるところも隣の女性は笑ってたし)
セリフも、過激でした。そんなシーンもすごく自然に「新次」だった松本さん。甘さの無い新次のベッドシーンが素敵でした。ベッドにいる新次のなんといい男なこと。
一つのクライマックスは、「お前は誰だ!」と舞台上に集まった全ての登場人物から問われる中で
シャドウボクシングしながら「俺はこの体だ!」と叫ぶシーン。
鍛えられたその体は、薄いけれど筋肉が綺麗についていて(逆三角が本当に綺麗だよ)
とても説得力のあるシーンになってた。新次の体でしかないその、松本さんの体。
鬼気迫るその表情や声にしびれた。
そしてラスト、バリカンと戦うリング上。
久しぶり!(だったかな)とバリカンに声をかけられても無視する新次。
今までの新次は「陽」であったのに、その陽をすっかりひそめて
「鬼」のような、どろどろしたオーラが体から立ち込めてるのを感じました。
「鬼」で「無」でしたね。
怖い位に美しい。
二人は荒野を見ていたのでしょうか? よくわからないけれど…。
かなり長い時間(4ラウンド?)ボクシングシーンがあって、殺陣が大変だっただろうな。
すばやいパンチの応酬のシーンも、すごくさまになってて本物の試合を見ているよう。
いつ頃からか、二人の体がびっしょりと汗で光ってました。
特に潤くんの背中の筋肉の美しいこと…。
後半は、リング上の二人も外で見ている人々もスローモーションの演技をし、
小出くん演ずるバリカンが殴られた回数を数えながら、打たれながら、ずっとセリフを言う場面になる。
(小出くんは特に大変だっただろうなと思う)
新次は一心不乱にパンチを浴びせる、
その絵が、高まる音楽と共にとても感動的で。美しかった。
100回近いパンチを受けたバリカンはやがて倒れる、そしてふと我に帰りそれに気付いて跪きバリカンを抱く新次。
そして、新次の、最後のあの叫び。
あの「叫び」に到達するまでに、きっとお稽古のときにたくさんたくさん悩んだんだろうな
あの場面であの叫びは最高の表現だった。
松本潤、すごかったです。
だてに、アイドルじゃないです。(by 蜷川氏)